クロージング・セッション 
閉会挨拶(要旨)
 奈良原眞吉 氏 NPO法人自立化支援ネットワーク 理事長

奈良原眞吉 氏 昨日から今日にかけての2日間、年明け2月の立春を迎えるこの時期、大変意義ある催しに、これだけ多くの方にご参加頂き本当にありがとうございます。そしてほぼ順調に討議が進みました事、皆様方のご協力に対して心から厚く御礼申し上げます。私も、この2日間各セッションへ足を運んで実際に体験いたしました。
 まずNPOという事が話題になりましたが、私共のNPOが創立から今日で満4年、明日2月4日を迎えると5年目となります。1998年12月にNPOが法制化された時、本当にいい制度が出来たなと嬉しく思いました。
 そして説明会に参加し、そこで一番印象に残った言葉は「今までは会社の生活ですが、これからは社会の生活なんです。NPOは社会の生活なんです」という講師の方の言葉で、この「会社」と「社会」の違いというものが6年前の説明会の時からずっと私の頭の中に残っております。何が違うのかを考えてみますと、端的に申しますと、誤解もあるかもしれませんが、「会社は歯車の人間であった。NPOは歯車でない本当の人間の人生が始まる」のだとそのように自分で理解しますと、大変モチベーションが高まります。そのような感想を持ちながら、このイベントに参加させて頂いたわけであります。

 昨日から田中先生と清原市長の基調講演、そして午後からパネルディスカッションがございました。
 パネルディスカッションの中で、事業型とボランティア型の問題が出ていましたが、これは団体の性格の違いではなく、1つのNPO団体の内部でさえも、事業型かボランティア型で行くかの議論が内在しています。
 この問題は今日お集まりの皆様にとりましても、他人事でない基本的なテーマではなかろうかと思います。人の顔が違うように、人の価値観も違います。したがってシニアネットの活動を続けて行くにあたりましても、この多様性の問題をどのように克服していくか、これらが重要であると実感いたしました。

  今日は5つのワークショップが行われて来ましたが、昨日から今日にかけて討議が進むうちに、問題意識が出て参りました。
 この5つのワークショップは別々でいいのだろうか、シニアネットの活動をしながらNPOの活動をしていく中には、学びもありますし、交流も、ビジネスもあります。また、まちづくりもありますし、ITライフもあります。例えば小池さんがビジネスの話をされても、決しておかしくないし、あるいは、堀池さんがまちづくり、ITの話をされても、決しておかしくない。我々シニアネットそのものが、今回の5つのワークショップの側面を常時持っているのではないかと、理解しました。
 5つのワークショップを見て参りますと、短い時間では申し上げられませんが、現場の声といいましょうか、シニアの智恵と体を使って流した汗の声と言いますか、そういう生々しい声が、本当に実感されたわけであります。この2日間は全国で活動されている皆様方の、体験の声、現場の声がひしひしと身にしみた次第でございます。

 そこでこれからどうするか、ということを考えてみますと、今回の重要なテーマになりましたことで、私の経験で申しますと、ヤマト運輸の小倉社長が、最近こういうことを言っておられます。「障害者の月給は現在1万円である。これに対する関係者の見解には『障害者は能力が低いのだから、1万円でも稼げれば立派ものだ』というものもある。しかし、本当に障害者の能力あるいはアウトプットを評価しているのだろうか、という目でみると、障害者の方には10万円の月収があってもおかしくない」。これはどういうことかと言いますと、ハンディキャップをもっておられる方でも、アウトプットされたものの価値を真に適正に評価されるならば、障害者だから1万円でいいということはないはずだ。彼らが作り出した価値をきちんと評価すべきである。こういう提言の基に小倉さんらしい活動を展開されています。

 このことから更に考えますと、「会社」と「社会」の違いから申せば、会社は分業制度になっていて、分業を担当しながら、組織の中で歯車として動いてきて、我々の多くは成功体験を持っています。シニアは会社を卒業しても分業は良いものだと信じているのではないでしょうか。
 しかし、ベンチャーのNPOやシニアネットを立ち上げてみると中々うまくいかない。元社長であっても、車で送迎された人であっても、自己完結型の仕事をしていかない方は、見ていると人間的な成長が遅い。つまり営業も自分でする、作る事も販売する事も、そしてお金の回収も自分でする。
 船橋さんが、「ひとりビジネス」を提案されているのも、まさにこのことを言われているのではないでしょうか。これをやっていると、相手の痛みがわかりますし、自分の欠点もわかります。
この“P・D・S”(Plan−Do−See)の回転により、自ずから、自分のどこに欠点があったかがわかり、人間的成長に繋がるのではないかと思います。

 最近、ちょうど50歳になった後輩がこんなことを教えてくれました。スウェーデン方式というのがあるのだそうです。これは、「スウェーデンでは福祉問題を政争の具にしない、という協定を与党と野党が結んで、スウェーデンらしい福祉国家を作り上げた。日本は、何かにつけて、政争の具にしてしまう。これでは、日本は良くなりませんね。何とかなりませんか」というのです。
 このようなことを思い出しながらこの2日間の討議を振り返りますと、我々日本人は、欧米人と違った、優れたものを持っていると感じます。光と影、明と暗、笑いと涙、そういう多様性を受け入れるだけの、豊かさというか、包容力を持っている。どちらかと言うと、原理主義とかグローバリズムを主張する民族は、「自分は正しいが、相手は間違っている」という排除の論理で動いています。
 日本人は何でもいいよ、受け入れるよ、この事が問題になることもありますが、そういう、古来の日本人のよさを持っています。
 ビジネスとかボランティアとかの対立概念は確かにありますが、そこはしっかり対立して頂き、その中から、どちらとも違う新しいコンセプトが生まれて来る。我々日本のシニアは、その智恵を持っています。

 北は北海道、南は沖縄まで、全国各地の方々が参加されたこの大会が、熱気と迫力を持って閉会を迎えられたことを大変嬉しく思います。
 いつの日か、近い将来またお会い出来る日があろうかと思いますが、ご健康に留意されてご活躍を心からお祈り申し上げて、私のご挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。
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